保育士、生きろ。

~低賃金・重労働。保育士問題のリアルを追う最新レポート~

過酷と言われる保育士の業務。多忙さと引き換えに失ってしまうものは

「いつも忙しいでしょう?」というリアクション。

それは保育士をしていることを話したときに多く見られるはずです。

 

保育士不足が社会問題として取り上げられることも多く、多忙=保育士という先入観は、世間に広く浸透しているのではないでしょうか。

 

とはいえ、業務内容が想像しにくい保育士の仕事では、一体なにが多忙の原因となっているのか外部に見えづらいという問題があります。

「子どもと遊んでいるだけでお給料がもらえる」という意見もあるのは、このことが大きいかなと思っています。

 

そのため今回は、

  • 保育士は実際にどんな仕事をしているのか?
  • なぜ「過酷」と言われるような状況が生まれるのか?

ということをご紹介します。

 

現場しかわからない保育士の過酷な勤務実態とは

朝6時に始まり、夜9時まで仕事

一般的な保育園では、朝7時から夜8時まで子どもを預かる時間にしているのではないでしょうか。つまり、その時間内は保育園が開園しており、保育士が業務をする時間ということになります。

 

子どもたちを安全にあずかるためには、日々の点検や掃除などがとても大事ですので、預かり時間の前後にはしっかり時間をとって準備・後片付けをする必要があります。

そのため、実際に保育士が保育園にいなければならない時間は、朝6時〜夜9時となります。

 

もちろん、8時間労働としてシフトが定められていることが多いですが、実態として8時間だけで仕事が片付くことはありません。

 

当日の活動への準備が終わっていなければ、普通番(8時出勤)であっても、7時から早出残業をして準備に当たることは珍しくありません。

定時後には、残った書類仕事をすることが多く、制作物をつくることもあります。次の日の準備といっても、クラス全員分の工作のアイディアを考え、ものを準備するのにはとても時間がかかります。

 

夜中に煌々と電気がついている時間は、保育士がずっと働きっぱなしになっていることを意味しています。いうまでもなく、保育士は多忙です。

 

f:id:mitsushan:20161014120736j:plain

複数の子どもを一人で見る

ベビーシッターのようにマンツーマンで子どもを見る仕事とは異なり、保育士は常に多くの子どもたちを見ることを求められています。

元気いっぱいの子どもたちを安全にあずかるというのは、知識も体力も必要なことです。1箇所で喧嘩がはじまったと思えば、別の場所で転んで泣いている子がいて、その隣では体調が悪くてくずっている子がいる・・・という状況も日常茶飯事です。

 

平穏なのは午睡の時間と思われることもありますが、なかなか寝付けない子どもの対応をしたり、午睡中に体調を崩す子どもが出たらその連絡に追われたりしている間に、15時を回り、おやつの時間が始まってしまうこともあるのではないでしょうか。

 

さらに、クラスによってはおむつを替えたり、調乳をしたりすることは、休む間もなく行っていきます。1分たりとも気を休める時間がないのも、保育士の責任感の重さを表しています。

 

休日でも休めないくらい多忙

待ちに待った週末。月曜から金曜までしっかりと働いた分、自分にご褒美をあげたいところですが、家に仕事を持ち帰らざるを得ない保育士は意外に多いのではないでしょうか。

週案の提出が次の月曜日に控えていたり、月末であれば月案の提出が控えていたり、その日その日の対応に追われがちな平日には取り組めない仕事を、休みの日にまとめて片づけています。

 

気分転換に旅行に行くときでさえ、新幹線にノートパソコンを持ち込んで、指導案の作成に追われる保育士の姿も見られます。

 

行事前は、終電も覚悟する

行事前、それは保育士がもっとも仕事に追われる時期です。

入園式にはじまり、運動会や生活発表会、さらには卒園式まで、保育園には多くの行事があります。

その都度保育士が、飾り物づくりをしたり、衣装や大道具をつくったりしています。1クラスを担当する正社員の保育士は1〜2人と少ないため、ほぼ一人でクラス全員分の衣装をつくる、ということもざらです。

 

さらには、保育士の出し物を練習したり、隣のクラスとの合同練習のための打ち合わせがあったり、積み重なる準備の多さで、終電ギリギリまで働く保育士も珍しくありません。

終電まで働いて、終わらない仕事は家に持ち帰って眠い目をこすりつつ作業し、早番の出勤に出て行く・・・という日もあります。

とにかく、やることが盛りだくさんなのが、行事前です。

 

しかも、1つの行事をやり遂げたとしても、すぐに次の行事に向けた準備がカレンダーに入ってくるのです。

保育園では、季節を感じられるイベントを通して子どもに季節感を感じてもらったり、日本の伝統的な慣習を伝えていくのは、子どもを育てる保育士として重要な役割だと感じています。そのため、イベントの数を減らしたり、準備に手を抜いたりはできない、という背景があります。

年間を通じて、心身を休める期間は存在しないと思っている保育士が多いはずです。

 

f:id:mitsushan:20161014185307g:plain

新卒で就職したばかりのころは「新人なんだからこれくらいやらないと!」と奮起して頑張ってしまいます。

しかし、ちょっと考えてみてください。その仕事の仕方、本当に無理がないものですか?

 

頑張りすぎて無理な仕事のやり方をつづけていると、あるときいきなりしっぺ返しがくる可能性があります。決して無理のないように取り組みましょう。

どうしても仕事がおわらず悩んでいる保育士は、先輩に相談してみるのも良いかもしれません。分担することを考えてくれたり、もっと楽にできる方法を教えてくれることもあります。

 

慌ただしいのが、年度の変わり目

3月末といえば、クラスの締めくくりの時期ですが、同時に次年度の準備も進めていく必要があります。ただでさえ忙しい保育士が、激務に追われ過酷さが増すのが3月ですね。

 

とくに、年長児の担任を受け持つと、一層過酷な状況になります。卒園式の準備にはじまり、小学校に提出するための書類づくり、保護者へのあいさつ、さらには卒園児に渡す記念品までつくります。

乳児クラスとは異なり、基本的に一人で受け持つことになるのが年長児の担任です。担任が複数いるわけではないため、多くの仕事を短い時間ですべて一人だけでやり遂げなくてはなりません。

 

そのうえ、次年度に担当するクラスの準備も加わることから、その激務は想像をはるかに超えたものだといえます。

 

f:id:mitsushan:20161014185222j:plain

もはや修行?研修やセミナー

常に勉強を重ねていくことが求められるのが、保育士の仕事です。保育方法は、医療の現場と同じく毎年新しい手法や知識が出てきます。

子どもたちの健康と安全のためには、それらの新しい知識や手法をきちんと身につけておくことが重要なのです。

そのため、研修に参加する機会も少なくありません。研修によっては、園が休みの日を利用して参加したり、平日の勤務時間後に行われたりすることがあります。

 

ある保育士が経験した研修では、金曜日に勤務が終わったあと飛行機で他県に移動し、翌日はその地方の保育園を視察、さらに日曜日は著名な講師のセミナーに参加したあと、また飛行機で地元に戻るという過密日程でした。

もちろん、翌月曜日は通常通り勤務するために、朝早く出勤するというものだったそうです。

 

こんな過酷なスケジュールで研修を行ったとしても、せっかく身に着いた内容も頭から抜けてしまいそうですね。

また、研修に参加する時間は「勤務時間とは認めない」ということで残業代がでない保育園も多いのです。

 

多忙で保育士が失ってしまうもの

ここまで、保育士が置かれている過酷な状況をご紹介してきました。

あまりに忙しい保育士ですから、失うものも少なくありません。実害として、どのようなものがあるのでしょうか。保育士として働くまわりの友人の声も合わせて、ご紹介します。

 

f:id:mitsushan:20161014185147j:plain

おしゃれとは無縁になっていく

平日も夜遅くまで勤め、休日も仕事に追われる保育士ですから、美容室で身だしなみを整えたり、ジムなどに行って身体を引き締めたりする時間はありません。

おしゃれがしたいと思っても、時間が取れないばかりか、日々の疲れで体力の余裕もほとんどないでしょう。

 

保育園によっては、行き帰りの通園の服装まで指定されていて、自分の好きな服を着れない!と悩む保育士もいます。たしかに子どもを預かるとなると保護者の信頼が重要ですから、あまり華美な格好や奇抜な服装はふさわしくありません。しかし、「動きやすい服装でないとだめ!」となると、おしゃれが好きな人にとっては辛い状況ですよね。

 

保育士の業務の中では外遊びやお散歩も多く、美容には厳しい環境ばかりです。真夏でも、日焼け止めを塗る間もなくお散歩に出かけなければならない、という日がほとんどです。

結果として、ボサボサの髪型に、ガサガサのお肌という、女性としては大惨事が待っています。

 

保護者の方とお会いする機会もあるので、なるべく身だしなみには気を使うようにしています。しかし、せっかく朝ちゃんとメイクをしても、昼頃にはすでにどろどろ。休み時間も連絡帳などの書き物の作業があるので、お化粧なおしなんて出来ません。

こんな状況なので、メイクをしていきづらいという背景もあるのです。

 

大好きな彼氏と会えない

お付き合いしている彼氏がいる保育士もいますが、あまりに多忙な毎日のため、ゆっくりとデートできる時間は取りにくいものです。

もちろん、土日にデートに誘ってくれる優しい彼氏に対して、行事の後などであれば疲労困憊なので、デートよりも体力回復をえらんでしまいたくなります。そのような理由ですれ違い、別れてしまう保育士が後を絶ちません。

 

また、保育園の近くに住んでいる保育士の場合、近所でデートしていると保護者にばったり会ってしまうので、なかなか外を出歩けない・・・という悩みもあります。

f:id:mitsushan:20161014184525j:plain

自分と向き合えなくなる

子どものことを考える毎日、仕事の忙しさにも追われるうちに、自分と向き合う時間を取ることが難しくなっていきます。気を緩められるのは、園のトイレを掃除しているときだけ、ということも珍しくありません。

「これから自分は何をやりたいのか」、「今後も保育士を続けていいのか」など、自分のために意識して考えたい時間も失っていきます。

こうやって、やみくもに働いているうちに心身の不調を着たしてしまうという保育士が、実はとても多いのです。

 

家族と過ごす時間

家族と一緒に暮らしている保育士も多いと思いますが、仕事の忙しさに家族だんらんの時間も奪われていきます。結婚して子育てをしながら保育士を続けている人は、あまりに仕事が忙しいため、肝心の「ママとしての時間」が取れないと嘆く人も多いようです。

 

保育園では子どもたちのケアをしているのに、実際に自分の子どもが体調を崩したときにはそばに付いていてあげることもできない・・・と悩む育児中の保育士もいます。そのため、育休から復帰する保育士が少なくなったり、別の職業に転職していってしまうということがあります。

 

まとめ

以上が、にわかに信じがたい保育士の多忙さを、実例を挙げつつご紹介しました。

多忙な日々は、保育士自身のことを大切にする時間を奪います。

本当にこの苦境を続けていていいのか?転職の準備をしたほうがいいのか?と、ときには自分と向き合う時間をつくっていきたいものです。

「忙しい」からはじまり、「忙しい」で締めるだけの1年と、早々にお別れできるきっかけになるかもしれませんね。

保育士が見たブラック保育園の実態。騙されない方法を考える

保育士が足りない、という話で話題になるのが「保育士はきついのにお給料安い仕事だから、増えるわけがない」ということ。

では、保育士の仕事ってどれくらいきついんでしょうか?きっと、保育士として働いている人でないとなかなか実感わかないのではないかなと思います。

 

たくさんの子どもたちを一度に預かるという緊張感。

元気いっぱい走り回る子どもたちに、たくさん愛情をもって接するように動き回ること。

 

でも、本当にきついのは、「保育」ではなく保育園というブラックな気質をもった組織だという場合も多いのです。

劣悪な労働環境で注目を浴びた歴代のブラック企業顔負けの体制が残っている保育園もあります。

f:id:mitsushan:20161013103246p:plain

ありえない環境でも言えない。気づかない。

けれども、そこで働く保育士には守秘義務がつきまとうため、保育園の中で起きてい出来事については、基本的に口外することは許されません。

さらに、他の業種で働いている人たちと違って、仕事をする中でかかわる人といえば、ほぼすべてが同業の女性だけという環境です。保育士に出張や営業活動は、無縁といっても過言ではありません。

そのような狭い環境で働き続けることで、他の業種では「ありえない」ことさえ、だんだんと当たり前のことに思えてくるのです。

 

今日は、私が保育園で見てきた驚きのブラックエピソードをご紹介しようと思います。

連日のサービス残業・・・労働時間がブラック

残業と持ち帰り仕事に追われている、それが保育士のイメージではないでしょうか。実際のところ、各保育士のキャパシティを超える仕事量を抱える人は少なくありません。

 

深夜22時過ぎまで、保育園の明かりが灯ったまま・・・ということも珍しくない保育業界なので、毎日続く残業で体調を崩す人は珍しくありません。

早番だと朝6時半頃から働き始めているので、22時すぎになると立っていられないほどの疲労と睡魔に襲われることもしばしばです。

 

それにもかかわらず、「残業代が0円」という保育園がほとんどなのです。多くの保育士は、サービス残業をしながら、書類の作成や行事の準備に追われているのが現状です。

 

f:id:mitsushan:20161013103311j:plain

残業こそ「奉仕の心」で

他の業種の人から見れば、効率を高めて既定の勤務時間内に仕事を片付けて、定時で帰れるようにすればいいのでは?と思うのではないでしょうか。

しかし、そのような考えをもって、定時に帰っていたある保育士は、最終的に園長に呼び出しを食らい、「奉仕の心が足りない」とお叱りを受けていました。

 

自分の業務が終わっても、他の保育士に仕事が残っていたら、一緒に残業して手伝うことが当たり前だという考え方が一般的な業界なのです。

なかには、「残業は子どもたちへの愛情」との価値観をもつ保育士さえいるのです。

 

もちろん、定時に帰れるようにすればいいのではと思っていた保育士は、翌年の春には退職していきました…。

 

タイムカードは存在しない

多くの保育園では、出勤の記録として、手書きの出勤簿に印鑑を押す形をとっているのではないでしょうか。

一般的な企業では、タイムカードを打刻したり、タッチ式のカードを用いたりして、勤務時間の管理を行っています。

けれども、保育園は 厳密な勤務時間の管理はしないことがほとんどです。何時に出社し、何時に退社したのか、記録も管理もされていないのです。

 

ある保育士が以前勤めていた保育園では、目前に控えた監査に備えて、「全職員分の出勤記録を上司が書き直す事案」が発生したそうです。

いうまでもなく全員が定時に出勤して、定時に退社したことにされました。園のブラックさがバレてはいけないと思ってなのか、上司は「ホワイトな出勤簿」になるように「キレイに漂白」したのです。

 

ある弁護士によると、そういうケースは2年以内であれば訴えられる可能性が高いと指摘します。しかし、今後の職場内の人間関係などを考えると、ありえないことでも大事にしたくないという保育士が多いのではないでしょうか。

 

このように出勤に関する記録をごまかされても、勇気をもって訴えるという選択をする人は限られているといえるでしょう。

 

労働時間に苦しんでいる人は

今回はブラックエピソードの紹介のため、「労基的にありえない」という事例でもそのままご紹介しています。でも、サービス残業を強いたり、長時間労働を課すことは「違法」です。

労働時間が長すぎて身体を壊してしまう前に、管轄の労働基準監督署などに相談しましょう。

労働基準監督署 | 東京労働局

自分の健康より優先して良い仕事はありません。憧れだった保育士という職業で長く働くためにも、健康第一で働ける環境を選びましょう・・・。

 

まるで昼ドラ?どす黒い人間関係でストレスがたまる

職場内の人間関係に悩む保育士は、驚くほど多いものです。女性同士ならではの人間関係の難しさがあり、カンタンにいかないことがほとんどです。

けれども、「許されざる非常識」なエピソードも、少なからず存在するのが保育園の恐ろしいところです。

園長家族と親しくなりすぎてしまい…

家族経営の保育園に勤める保育士も多いと思いますが、「経営者との近すぎる付き合い」が、時に災いとなって帰ってくることがあるので注意したいところです。

たとえば、夫婦で経営している保育園のケースでは、その夫婦と親しくなることでプライベートでもお誘いが増えてくることでしょう。ホームパーティに呼ばれるくらいであればいいのですが、経営者の子どもの世話を個人的に頼まれるようになると、自分のプライベートの時間であっても、遠慮なく干渉される可能性が高まります。

 

とはいえ、あえて経営者と親しくなることで、職場内での揺るがない自分の立ち位置を確保しようと考え、積極的に親しくなることを企む保育士もいます。そうすることで、副園長や主任、リーダーよりも強い発言権を得られると思う人が多いものです。ここに「大奥」 的な女性の世界ならではの怖さを感じずにはいられません。

 

f:id:mitsushan:20161013103329j:plain

もちろん、経営者に取り入られようとした言動をする様子は、他の同僚が意外なほど見ているものです。そういう人こそ、実は味方を失っていくことに気付けていません。

 

エラいのは、「いじめに耐える保育士」?

いじめが起こりやすいのは、女性の職場ならではのことではないでしょうか。なかでも、保育園の職員同士でのいじめは、よく聞く話です。

笑顔で「お友達には優しくしましょうね」と子どもたちに諭している保育士に限って、裏では平気で同僚への意地悪にいそしむものですから、不思議なものですね。

 

保育業界でいじめが残り続ける原因、その1つに「通過儀礼化するいじめ」という事実があります。

あえていえば、「新人時代に、先輩からひどいいじめに遭ったのだから、あなたも新人のうちはわたしのいじめに耐えなさい!」というような、一人前になるために必要ないじめがあるという価値観を押し付けられてしまうことがあります。

 

たとえ、周囲の保育士にいじめられた被害を申告したとしても、「それは誰もが経験すること」として相手にしてもらえないことがほとんどです。

 

当然のことではありますが、「いじめが人を育てる」ことは絶対にありません。

保育所保育指針に、「いじめが人を育てる」と書かれているでしょうか。

残念ながら、自分がされて嫌だったことを、自分よりも立場の弱い人に対して経験させたくなる「人格的に恥ずかしい人」が少なくありません。

 

自分の苦しかった過去をどうにかして肯定したいためだけに、後輩をいじめてしまうのです。

 

交通費は「園長のお気に入り」だけ?

本来であれば、就業規則で定められているはずなのが、保育士の給料ではないでしょうか。とくに、法人であればなおさらそうでなければおかしいはずです。

 

しかし、不思議なことが起こり得るのが保育園というところです。

ある保育士は、なぜか通勤費用を満額もらえないことがあったといいます。契約時に園から渡された書類を確認すると、「交通費は月2万円まで支給」と明記されていました。その保育士が請求できる額は1万5千円なので、規定の範囲内であることは言うまでもありません。

けれども、支給されていたのは、1万円だけでした。

 

急いで経理担当に確認したら、逆に「園長先生が満額払うことを約束したか」について質問されました。口頭でも約束していなかったため、「約束していません」と伝えると、「それであれば、1万円ですね」と返答されました…。

もちろん、納得できる答えではなかったので、他の保育士はどうなっているかを聴きまわってみました。すると、交通費を満額支給されている保育士もいれば、そうでない保育士もいるのでした。

その基準は「園長のお気に入り」かどうか。交通費を満額支給されるのはお気に入りだけだったのです。

さすがにバカバカしいと感じたその保育士は、すぐにその園を退職したそうです。

 

ほかにも、園長のお気に入りの職員だけ、冠婚葬祭へのお金をもらえるなどといった逸話もありました。給料でないとはいえ、そのようなやり取りにまで「園長の私情」が当たり前のように絡んでくることに、大人が働く職場環境とは思えず、ただただ驚かされました。

 

人間関係に悩んでいる保育士は

今まさに人間関係で悩んでいる、という保育士もいるでしょう。

その時は、まずほかの人に相談してみてください。話すだけで、自分の心が軽くなることもあります。

知り合いに話しにくい時は、行政の相談サービスを活用してみるのも良いでしょう。思ってもみなかった解決方法が見つかるかもしれませんし、なにより、あなたの心や身体を守ってくれます。

 

例:東京都大田区の場合。このように、相談窓口を設けている行政が多いです。

大田区ホームページ:女性のためのたんぽぽ相談

 

転職の時まで「ブラック」な保育園

あまりにブラックな保育園で「もう働けない!」と考え始めたときに、転職が頭をよぎるのではないでしょうか。けれども、転職したいと思っても、思うように転職が進まないという保育園は少なくありません。

執拗に「次の職場」を質問責め

一般的に、新しい転職先が決まった状態で働き続けるのは、やりにくいところもあるのではないでしょうか。とはいえ、心を鬼にしながら、周囲のうわさ話には耳を塞いで、与えられた業務をやり遂げることは大切です。

 

しかし、上司や同僚によっては、

「次の園はどんなところ?」

「お給料はどうなの?」

「次は何歳児を担当するの?」

などと辛辣な質問責めをしてくることも珍しくありません。

 

違う職場に移っていく同僚を、優しく送り出す余裕のある人は残念ながら多くないかもしれません。

f:id:mitsushan:20161013110826p:plain

退職を申告するのは「1年前」?

どの会社でも、退職をする1〜2か月前に退職の意思を書面で示すことが一般的ではないでしょうか。多くの保育園でも、おそらく職務規定上では、同様に定められているはずです。

 

しかし、来年度のクラス編成のことなどに配慮すると、保育業界では3か月前には申告しておきたいところです。(ただし、残り3が月は働きにくいかもしれませんが…)

 

困ったことに、3か月前でも「遅い!」と怒られることがあるのが、保育業界です。ある保育士のケースでは、「次のステップに進むために、年度末で退職したい」と、6月頃に主任に話したそうです。退職の10か月前での相談ですから、退職の申告としてはかなり余裕があると思われるのではないでしょうか。

 

けれども、その主任からは「なぜもっと早く言わなかったのよ!」と怒声を浴びたそうです。主任の言い分は、退職したいことがわかっていたなら、他の先生に年長クラスを頼んでいた、クラス編成を行う前に申告してほしかったというものです。さすがにその保育士は、ショックを隠せませんでした。

 

「退職の1か月前に申告」することが契約でも決まっていることですが、余裕をもって申告しても怒られるケースがあるのは、保育士の辛いところではないでしょうか。

 

 

まだまだ、保育士のブラックエピソードは終わることがありません。

こちらにも辛かったときの話などをまとめてみますので、見てみてくださいね。

 

 

保育士の過酷な業務

保育士の残業

「ブラックな保育園」に1人で立ち向かわない

ご紹介したようなエピソードに似た体験をした保育士は、意外に多いのではないでしょうか。就職してしまった保育園のブラックさに後悔しつつも、なかには職場環境をどうにか改善できないものかと、必死に立ち向かう人もいます。

けれども、職場内カーストの頂点に君臨するのが園長先生であることに変わりありませんから、1人の職員の正義感が、職場環境そのものを変えることはかなり難しいことでしょう。

ブラックな面を正そうとするあまり、園長先生やそれを支持する職員などからいじめのターゲットとされたり、肝心の保育に集中できないほどの業務過多に陥れられたりした事例もあります。

 

経営者ではなく、あくまで「雇われている立場」である以上、別の保育園を探す方法を選択してもいいのではないでしょうか。

 

ブラックな保育園に我慢しない

いかがでしたか?今現在、まさに「ブラックエピソード」のようなつらい経験をされている方もいらっしゃると思います。

「つらいな」と思ったら、「これは通過儀礼」「先輩たちも一度は通ってきた道だ」と思い込んでがまんするのではなく、勇気をだして一歩踏み出してみましょう。

 

ブラックな保育園では、通常ではありえないというようなことが平然と行われている時もあります。「我慢できない自分は忍耐づよくない」と思わずに、正しくないことは正しくない・良くないと思って行動できるようにしましょう!

 

ブラックな保育園に転職しないためには

ブラックな保育園に苦しんでいる保育士さんには、転職を強くオススメします。そうなると今度は、どうやったらブラックでない保育園に転職できるか、ということが気になりますよね。

 

今、たくさんの保育士さんの求人サイトがあります。求人を検索してみると、ずらーっと並んでいます。しかも驚くことに、どの求人サイトをみても、高待遇なものばっかりなんです。

しかし、この状況を素直によろこぶことはできません。このたくさんの求人、なかには待遇を「盛っている」ものもあるからです。

 

そんな悪質なうそにひっかからないために、ブラックな求人を見抜くコツを考えてみました。

ブラック保育園に引っかからない求人の見極め方

残業の記載の仕方に注目

まず注目すべきなのは「残業」についてどのような記載があるかです。

「残業がたくさんあります」と明言している保育園はないと思います。だれだって残業があることを嫌がるからです。

実際に残業があるかどうかを見抜くのは、実はお給料のところに記載されています。お給料のところに「みなし残業手当」「固定残業手当」という文字列が書いてあったら、その求人は注意してみてみるようにしましょう。

 

実は、みなし残業や固定残業と書いてあるようなところは、ある程度残業が発生している保育園がほとんどです。もちろん、規定上かいてある、という保育園もありますので、実態は要チェックです。

 

試用期間の待遇

正社員でもパートでも、勤務開始から一定期間が「試用期間」の扱いになっている場合が多いです。

就職がきまって雇用契約書をみてみると「試用期間」とかいてあるところはありませんか?

 

この、試用期間があることはごくごく一般的です。ですが問題は、その期間の待遇なんです。

通常ですと、ちょっとだけお給料が低いか変わらない、という程度です。自分が経営者だったら、と考えると、全く知らない人を採用するわけですから、様子見として若干お給料を下げるというのは納得できますね。

ちゃんと働ける人かどうか、その前に安全な人かどうか分からない人を自分の保育園にいれるわけですから、ちょっとは様子見させてね、というわけです。

 

でも中には、「試用期間」にかこつけてとんでもない待遇を強いる保育園もあります。

雇用形態がちがっていたり、お給料の下がり方があまりにも大きい。ということがあります。

 あれ・・・?というほどであれば、必ずサインする前に確認しましょう。

また、面接の段階で、必ず試用期間の有無・長さ・待遇について確認しておきましょう。

試用期間について疑問に思うことがあれば、管轄の労働基準監督署に相談してみるのも良いようです。

参考:労働基準監督署へ多く寄せられる相談事例 | 長野労働局

f:id:mitsushan:20161013110927j:plain

まとめ

いかがでしたか?

現実にあるとは思えないようなブラックエピソードですが、保育関係者の方々は遭遇したことがある人も多いのではないでしょうか。

過酷な労働環境で働くのは、心身ともに悪影響です。身体を壊してしまう可能性もありますし、なにより、憧れてなった保育士という仕事が嫌になってしまうこともあります。

毎日元気に、笑顔で子どもたちのそばにいることができるよう、働きやすい環境づくりを推進している保育園を選ぶようにしましょう。

 

ご紹介したエピソードにもあるような「明らかに労働基準を逸脱している」という事例は、本来あってはならないものです。

厚生労働省ではメール相談の窓口なども用意していますので、困ったことがあれば利用してみるのも良いでしょう。↓

労働基準関係情報メール窓口 |厚生労働省

頑張らなくていい。保育士が人生を取り戻すためのうつ病対策

私に限ってうつ病になるなんて…?

そう思っている人は意外に多いのではないでしょうか。しかし、それでもなってしまうことがあるのが、うつ病です。

 

保育士はもちろん、子どもたちに授業する教師、お世話をすることが多い看護師や介護士、人から悩みを相談されることが多い心理士など、人を助ける仕事に就いている人は、うつ病によって仕事を辞めてしまうケースが後を絶ちません。

やはり、仕事で人を助けていくなかで、助けたい人がもつマイナスの感情から影響を受けてしまうことが考えられます。

 

保育の現場でも、「本当は保育士に向いていないんじゃないかな…」、「仕事がうまくできないなぁ…」と思い詰めたり、無気力になったりする保育士がよく見られます。

 

でも、そもそもうつ病とはどんな病気なんでしょうか?予防するためにも、詳しく見てみましょう。

うつ病とは?

何か嫌なことがあると、だれしも人間ですから、少し憂鬱な気分になったりすることがあるものです。

この「憂鬱な気分」の中には病気ではないものもあります。

病気では無いような憂鬱気分は、大体少し時間がたつと、その時間とともに良くなっていくものですが、うつ病と診断されるくらい強いうつ状態から回復するには、時間が経てば治るというものではありません。

 

このように鬱状態にある事が長引き、自然に治ることがない、という状態になってしまったのがうつ病と呼ばれています。

 

↓厚生労働省も取り上げており、今日本では重要な病気のひとつです。

うつ病|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省

 

うつ病の症状

うつ病の主な症状は2つに分けられます。

まず1つ目が心に出る精神症状と言うもの、そして2つ目が、体に実際に不調なことが起こる身体的症状と言うものです。

精神症状と身体的症状は、それぞれどんなことが起こるのでしょうか。具体的に見てみましょう。

 

うつ病の精神症状とは

代表的な精神症状は3つあります。

1. あらゆる意欲の減少

まず1つ目が、「これをやってみたい」と言う意欲の低下です。何もやる気が起きなくなり、今まで好きだったことにも楽しいと感じられなくなったりします。

また、どんな動作をするのもめんどくさいと感じたりするようになります。

保育園に行きたくない・・・と思うのも、こういった意欲の低下が原因であることが多いです。

 

2. 思考・判断力の低下

1つの作業に集中することができなかったり、注意力が欠けたりとするような状態が続くようになります。

こういった状態から仕事でミスをしてしまい、さらに怒られたりして自信をなくしてしまう、と言う状態に陥ることもあります。保育園で働いている時に注意力散漫になったら、とても危険ですね。

ひどくなると妄想が現れ、例えば自分が重い病気にかかってしまったんだ!と思い込んでしまう場合もあります。

 

3. 不安・イライラ

今まで笑顔だった人が、全く笑顔にならなくなります。また、特に理由がないのにいきなり泣きたい気分になったり、号泣したりということもあります。

一般的にですが、大体朝の方がこの症状はひどく、夕方に向かうにつれて少しずつマシになっていくと言う症状があります。

また、こういった状態から「もう死にたい」と自殺願望がでる場合もあります。

f:id:mitsushan:20161012132034j:plain

うつ病の身体的症状

うつ病の身体的症状は3つあります。

風邪をひいたら熱がでたり、喉がいたくなったりしますよね。これが身体的症状です。

精神的な症状しかでないと思われがちなうつ病ですが、実は身体症状にもかなり特徴的なものがあるんです。

 
1. 疲労感の増大

今まで元気に保育園に行けていたのに、何となく体がだるくなったり、疲れやすくなったということがあります。以前とおなじように仕事をしているのに、夕方になるともう立ち上がる元気もない・・・という保育士さんは要注意です。

こういった症状は加齢によるものの場合もありますが、どれだけ休んでも回復しない、と言うのがうつ病の特徴です。

 

2. 食欲の減少・異様な増大

今まで好きだったものを食べても美味しくないなぁと思ったり、そもそも食事をしたくないと思うようになります。

そのため、食事はあまり取らなくなり、体重も減っていきます。

 

個人差はありますが、ひどい人ですと大体1ヶ月で10キロも落ちてしまうことがあります。

また、これとは逆に、今まで以上の量食べるようになる、と言う過食の傾向が出る場合もあります。

 

3. 不眠

夜の寝付きがわるくなる、布団にはいったのにいつまでもどきどきして寝られない・・・というものがあります。また、せっかく寝付いても夜中になんどもおきてしまう、という方もいます。

しかも困ったことに、夜の寝付きは悪いのに、朝はかなり早朝に目が覚めてしまう、というのもうつの特徴です。

そのため、日中を睡眠不足の状態でぼーっとしながら過ごすことになります。

 

多様な身体症状

その他の身体症状としては、人によりますが、先程の例のように、頭が痛くなったりめまいがしたり吐き気がしたり、ということがあります。

それ以外にも、理由もなく汗がどっとでたり、口が渇いたり、息苦しい感じがする、といった自律神経の症状が現れたり、お腹の調子が悪くなるとような胃腸症状が出ることもあります。

 

うつ病にならないためには?

では、何に気をつければいいのでしょうか?

まず、ハードな労働環境に身を置く保育士が、うつ病にならないために気を付けること心身を健康に保ちながら仕事を続けられるようにするために大切なポイントをご紹介します。

基本はしっかりと「1日3食」

毎日の食事は、身体的にはもちろん精神的にも、健康を保つために大切です。

保育士の朝は早く、とても忙しいために「今日は早番だし、朝食を抜いちゃっても平気かな」と朝食を抜いて出勤してしまい、午前中から後悔してしまう保育士は珍しくありません。

お昼は、子どもたちと一緒に給食を食べます。そのときには、先輩や同僚に対して遠慮せず、女子を捨てる勢いで食べちゃいましょう。活動的に仕事をする保育士ですから、お昼を多少食べすぎたくらいでは、体重に影響することは少ないでしょう。

逆に食べないことで体力面ではもちろん、気持ちの面でも弱ってしまいます。しっかりと味を感じながら食事することが大切です。

 

忙しい朝には、食事の準備に時間がかからないフルーツを中心に食べてみてはいかがでしょうか。行事の前などで仕事が辛いと感じるときでも、毎朝食べるフルーツが保育士の元気を支えます。フルーツには午前中の活動に必要な糖質はもちろん、お肌に優しいビタミンも豊富なのがうれしいですね!

 

最近では主食を抜くような無理なダイエットも流行っています。たしかに一時的には痩せるかもしれませんが、動けなくなてしまってはダメですよね。ごはんはしっかり食べましょう。

 

子ども達と元気いっぱい走り回ったり、テキパキ掃除をしたりしているうちにしなやかな筋肉がついて、引き締まってくるはずですよ。

 

休みの日には、外でリフレッシュを!

月曜日から金曜日まで残業に追われ、さらに持ち帰り仕事もあっては、休みの日くらいずっと布団の中で引きこもりたくなる保育士もいるのではないでしょうか。

布団で身体を休めていれば、体力的には回復するかもしれませんが、気持ちの面がリフレッシュできないことがほとんどです。とくに、布団に引きこもったままでは、気持ちが内向的になり、うつ病になりやすくなるといわれています。

 

まずは、せっかくのお休みですから、家の外に出ることから始めてみませんか?

ウィンドウショッピングに出かけたり、カフェでお友達と女子トークに花を咲かせたり、図書館で静かに読書したりなど、気分転換をすることが心の疲れをとるために大切です。

連休であれば、ハイキングやお花見、海などに行って、日ごろあまり感じられない自然に身をゆだねてリフレッシュしてみるのもオススメですよ!

 

外に出るのがあまり好きでない人は、部屋に自然光をいれることを心がけましょう。1日中カーテンしめきり・・・というのは、身体のリズムも狂いよくありません。

日中にしっかり太陽の光を浴びるようにしましょう。

f:id:mitsushan:20161012132021j:plain

保育業界以外の人との時間を大切にする

保育業界は、とくに閉鎖的なところが目立ちます。あまり外の世界に接することがないというのが、実は保育士がうつ病になりやすい一因と言われています。

 

ランチひとつとってもみても、一般的な会社員であれば外でランチする機会もありますが、保育士は子どもたちと一緒に給食を食べます。基本的に外部への出張もありませんから、1年間ずっと変わりようのない保育室に同じ子どもたちを迎え、さらに同僚や保護者も同じメンバーで過ごし続けることになります。

つまり、保育士はいつもかかわっている「保育関係者」以外の人に会うチャンスが極めて少ないのです。

たまに業者さんが備品を納品に来ますが、それさえも「保育関係者」以外に思わずカウントしてしまいたくなります。

 

保育業界に長くいることで当たり前になってくることの中には、他の業種の人からすれば「ありえないこと」だらけだといわれます。

したがって、休日にはもちろん、仕事帰りでも他の業種に勤めている友達と食事したり飲み会をしたりして、保育業界では感じることができない刺激や価値観に触れてみることが大切です。

 

女性中心の職場に勤めていると、いろいろな愚痴を言いたくなると思います。

そのときにも、同僚に言うより他の業界の人にいうのがオススメです。なぜなら、職場の人に話した愚痴は、尾びれ背びれがついて職場内に広まり、ほとんどのケースで自分に倍返しされてしまうことがあるからです。

 

趣味の時間を大切にする

とくにハードな労働環境に身を置いている保育士ですから、趣味の時間を何よりも大切にしたいところです。

好きな映画を観に行ったり、ライブやコンサートに行ったり、本や漫画を読んだり、料理やお菓子を作ったりと、趣味に没頭する時間には、毎日の業務であまり感じられないたくさんの「ワクワク感」があることでしょう。

この「ワクワク感」が仕事へのモチベーションにつながり、人間関係などからくるストレスも抑えられるのです。

仕事で使う体力と、楽しいことに使う体力は「別モノ」です。毎日の残業で疲労困憊だったとしても、音楽好きな保育士では「週末のライブや夏フェスに行くぞ!」とモチベーションを保っていることで、健康的に過ごすことができます。

平日の夜には、布団から起き上がれないくらい疲れているのに、週末の元気はどこからやってきたのかと思うほどですよね。

 

つまり、趣味などの楽しいことに費やす時間こそ、うつ病にならないための「最強の予防薬」となるのです。

 

「徹夜はしない」セルフルールを

学生の頃であれば、提出期限の迫ったレポートに追われて、徹夜で頑張ったこともありましたが、社会人で徹夜をすると翌日以降に大きな悪影響があります。

たとえ持ち帰り仕事がたくさんあったとしても、「徹夜はしない」というセルフルールをつくって、守ることも大切です。

 

できれば、どんなに夜が遅くなったとしても、日付が変わる前には布団に入って休むことを目標にしましょう。どうしても仕事をしなければならないときは、その代わりに、早起きをがんばるのです。

 

夜に粘っても進まないような仕事でも、朝にやるとあっさり片付くことが少なくありません。これは、脳みそが睡眠を取ることリフレッシュすることと、持ち帰り仕事にありがちな「考える仕事」は朝や午前中に向いていることがあるからです。

 

職場からのお誘いは「月1ペース」で

職場の飲み会は、得意な人と不得意な人に分かれます。ある保育園では、週2回ペースで仕事終わりの飲み会をやっていました。先輩から数人だけの飲み会に誘われ続けると、日ごろからお世話になっていることもあり、なかなか断りにくいものですね。

 

ただでさえ早番で出勤して残業したにもかかわらず、そこから22時過ぎまで先輩に付き合わされる飲み会が続く状況には、心身ともに疲弊してしまいます。日中から残業まで、さらにその後の飲み会まで仕事関係の人と過ごすことに対して、ストレスを感じてしまう人が少なくありません。

 

個人差がありますが、職場の飲み会は「月1ペース」くらいがちょうど良いのではないかと思います。

 

子どもから癒されて、心身を健康的に

子どもにとっては、大人からスキンシップされると愛着を感じてうれしくなります。実は、大人にとっても、子どもとのスキンシップにはとても大きな効果があるのです。

 

赤ちゃんの柔らかい肌をやさしく抱きしめるときでも、クラスのイタズラ好きな男の子をしっかりと抱きしめながら諭すときでも、子どもにスキンシップをしているときには、私たちにも幸せホルモンが分泌されます。

「オキシトシン」といわれるこの幸せホルモンは、ママが赤ちゃんに母乳を飲ませているときに分泌されるホルモンとしても知られています。

つまり、子どもとスキンシップをするという行為から、子どもの体温を感じ取りオキシトシンが分泌され、幸せを感じることができるのです。

 

子どもも、保育士さんとふれあうことで愛情をたっぷり感じて、まわりのお友達と仲良くなったりという社会性を身につけます。子どもにとっても保育士さんにとっても、スキンシップをとることはメリットがあることなんですね。

これは、仕事のなかで子どもたちと触れ合える保育士ならではの特権でしょう!ぜひ、積極的に子どもたちとのスキンシップを意識して、うつ病予防につなげていきたいですね。

f:id:mitsushan:20161012131834j:plain

あなたは大丈夫ですか?

ここまで読んで、はっとした人はいませんか?

もしかして私はうつかもしれない・・・と思っている保育士さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

 

でも、いきなりメンタルヘルスクリニックを受診するのは勇気がいりますよね。そんな方は、まずこちらのセルフチェックをやってみてください。

もちろん、これで全てのうつ病の診断ができると言うものではありませんが、最近少し調子が悪いな・・・と思っている方は確認のためにやってみてくださいね。

 

(うつ病はとても繊細な病気です。自分の症状が深刻だと思われる方は、すぐ病院に行きましょう。)

 

保育士のためのうつ病セルフチェック

今からいくつか質問をします。それぞれの質問に対して、下記のように点数を足していってください。

セルフチェック方法はとっても簡単

  • 「あてはまらない」というのであれば 0
  • 「時々ある」ということであれば 1
  • 「よくある」と言うのであれば 2
  • 「常にある」というのであれば 3

そして、それぞれの質問の合計の点数をだして、その合計点数によってうつ病かどうかチェックします。

 

それでは質問を始めます。質問は全部で12個ありますので、リラックスしてやってみてくださいね。

うつ病セルフチェックのための質問

  1. 朝起きた時に、体がだるくて疲れたなぁと思う事はありますか。
  2. 最近、気持ちが落ち込んだり、気分が重たくなったりすることがあるありますか。
  3. 朝と夕方で比べると、朝の方が何もしたくない!と言う気分が強い、ということありますか。
  4. 肩こりや首のコリが強くなって、とても気になる、と言う状態ではありませんか。
  5. なかなか夜眠れないのに、朝とても早い時間に目が覚めてしまう・・・と言う事はありませんか。
  6. ご飯を目の前にしてもなかなか箸が進まない、ご飯の味がわからないと感じる事はありませんか。
  7. 息苦しいなぁと思う事はありませんか。
  8. 喉の奥にご飯が詰まってるような感じがするという事はありませんか。
  9. 仕事をしていても作業の効率が悪い、よくミスをしてしまうという事はありませんか。
  10. 何をやってもつまらない、自分の将来がまったく面白そうでないと感じることありませんか。
  11. 前にも、今と同じようにゆうつな症状が現れたと言う事はありませんか。
  12. 几帳面で、仕事に対しても真面目に取り組むタイプですか。

質問は以上です。

結果を採点してみましょう

合計点数はどうなりましたか?その点数を、下記と比べて見て下さい。

  • 10点以下の人はあまり問題がありません。
    自分のストレスを正しく解消することができているようです。
  • 11点から15点の人は少し危険です。
    今ですと大丈夫ですが、そのままですと鬱になってしまう可能性もあります。日ごろから気をつけてチェックするようにしましょう。
  • 16点以上の人は、もう既にうつ病になっているかもしれません。
    早めにお医者さんに行ってみるようにしましょう。

これらはあくまでもセルフチェックのためのものです。少しでも心配だなと思った方は、医療機関に相談してみるようにしましょう。

 

ではこのうつ病予を防するために、まずはうつ病について理解するところから始めていきましょう。

 

いっぱいいっぱいになってしまう前に

責任感の強い保育士ですから、「もうダメ、誰か助けて…」、「これ以上は限界かもしれない…」と、自分を追いつめてしまう人もいます。

しかし、大好きな保育士の仕事で追い詰められなくてもいいのです。

保育士になったとき、どんな先生になりたいと思っていましたか?

「今からはもう思い出せないよ・・・」という方、今からだって、自分が理想としていた保育士さんになれるんです。

 

決して、自分を責めないでください。

転職して職場を変えたり、少し休職したり、たくさんの方法があるのです。そしてそれは決して、「逃げること」ではありません。

 

下記のように、公的機関で相談にのってくれる窓口もあります。

一人で抱えずに、勇気をだして相談してみましょう。