保育士、生きろ。

~低賃金・重労働。保育士問題のリアルを追う最新レポート~

「死にたい。」人生までも辞めたくなる保育士の話を聞いてくれませんか

子どもたちの「生きる」ということに寄り添えるのが、保育士の仕事です。

けれども、自分自身は「死」を選択してしまいたくなることが、時としてあります。

保育士には、それだけ追い詰められる人が意外に多いものです。

 

別の業種に勤めている友達から見れば、「1日中、子どもたちと楽しく遊びまわれるのが、保育士の仕事でしょ?」と思っているようですが、

現実を知れば知るほど「お気楽な仕事」ではないと強く言いたいですね。

 

なぜ、子どもたちのあこがれの職業にもランクインする保育士が「死にたくなるほど辛い職業」になってしまうのか。

現場で働いている保育士が、辛い、辞めたい、死にたいと思ってしまう状況を、感じるままに書いてみました。

保育士の仕事がつらいのはなぜ?

とはいっても、保育士さん以外の人は、なぜ保育士がつらい職業なのか伝わらない方が多いんだと思います。 ここで、保育園で日常的におこっている出来事をご紹介します。

これは、「保育園ではふつう」のことなんです。

  • サービス残業は、毎月100時間をかるく超える
  • 園長先生や先輩が、ターゲッティングしていじめてくる
  • 過酷な労働条件に見合わない安月給
  • 季節によっては、子どもたちから感染症をもらい、医療費もかさむ
  • 彼氏に会う時間はもちろん、美容室にさえ行けない忙しさ
  • 服はすぐ泥だらけ&やぶれたりするのに、新しい仕事着を買うお金もない
  • なのに身綺麗にしていないと保護者からクレームが入る

ざっくり考えてみても、これだけ死を選択したくなる理由があります。

真面目な保育士こそ、死を選びたくなる

責任感が強い人が多いのが、保育士の特徴です。子どもたちの大切な命を守る仕事ですから、責任感を強く持つことは当然でしょう。

もちろん、率先して子どもたちのお手本になることを求められます。仕事で辛いこと、苦しいことがあっても笑顔を絶やさずに歌や踊りをしなければならない場面もあります

前日の夜、こちらの忙しさが原因で彼氏に振られても、翌朝には「○○ちゃん、おはよ~!」とカラ元気を振り絞り、子どもたちにスキのない笑顔で接するのが保育士です。

保育園の先生を思い浮かべてみてください。いつも笑顔でテキパキと働いていませんでしたか?

体力だって存分に使う仕事です。毎日自然と笑顔でいられるわけがないのに、毎日笑顔で子どもたちに接しなければなりません。

そのような責任感の強さが逆にはたらき、自分自身の精神状態をどんどん追い詰めてしまうケースが想像以上に多いものです。

 

たとえば、失敗しないように気を付けていても、仕事で失敗することがあります。

もちろん、上司から思い切り叱られることになりますが、「上司のヤツ、ムカつく!」、「精一杯、気をつけながらやったのに!」と不満を感じ、ちょっと反発するくらいが、ある意味で思考回路が元気な証拠ではないでしょうか。

けれども、真面目な保育士では、それに不満を感じるのではなく、自責の念に苛まれてしまう人が少なくありません。

 

「まだまだ私は未熟だから、さらに勉強を重ねないと…」

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確かに、ひとりの社会人として見習うべき考え方のように思います。

しかし、このような考え方を続けていては、不満の「ガス抜き」をすることもできず、ストレスはどんどん溜まってしまうことでしょう。

根が真面目で仕事に対する責任感が強く、上司や先輩に対して謙虚な人ほど、積み重なるストレスに対して死を選択したくなるほど思いつめる傾向があるのではないでしょうか。

 

きっと当てはまっていた保育士さんも多いですよね。

今日はそんな疲れ気味の保育士さんのために、メンタルのヘルプサインについて、まとめておきました。「自分はまだまだ・・・」と思っている人ほど、知らず知らずのうちに蝕まれていた、ということも多いのです。

息抜きだと思って、ちょっとやってみてください。

セルフチェックはなぜ必要?

あまりにも辛い状態にいると、身体のヘルプサインを無意識に無視してしまうことがあります。

しかも、「無視している」という自覚さえないのです。

その結果、ある日突然限界を迎え、ばったりと倒れてしまうことになります。

そうなった保育士さんが口をそろえていうのが、

「なぜ突然こんなことになったのかわからない」

「倒れる前のことは、あまりよく覚えていない」

ということです。

あなたは気づかない間にメンタルヘルスをそこなっていませんか?

 

子どもたちに心から愛情をそそぎつつ、安全で適切な保育をするには、自分の健康が第一です。メンタルヘルスの状態を一緒にチェックしてみましょう。

夜にぐっすり眠れない

うつ病になった人は、早朝に目が覚めてしまう傾向があります。それは、睡眠中にも不安を感じてしまい、落ち着いて睡眠を取ることができなくなるためです。

また、朝に目覚めたときにもダルさを感じてしまい、職場へ出勤する気力が湧きません。

これは身体が発しているヘルプサインなので、見逃さずに感じ取りたいものです。

月曜から日曜までずっと働きっぱなし

忙しすぎてプライベートの時間がない…!という保育士は少なくないでしょう。

仕事に追われて多忙な生活を送っていると、友達からのLINEに返信することも、自分が好きなテレビや雑誌を楽しむことも忘れてしまいがちです。

やはりワーカーホリックになりやすい人の特徴として、自分のプライベートな時間を大切にしないことがあります。

意識的に「仕事以外の時間」を設定して、少々強引だったとしても息抜きをするように心がけましょう。

前向きな気持ちがなくなる

カンタンにいえば、「無気力状態」のことで、実はちょっと危険な状態です。

目前の楽しそうなことに対して、「次は子どもたちとこういう遊びをしてみたいな!」、「次の休日には好きなアーティストのライブに行こう!」など、人にはそれを楽しもうとする意欲があるものです。

これこそが、ブラックな労働環境だったとしても、前向きに生きていく力になります。

前向きな気持ちを失ったと感じるときは、精神的に擦り切れている可能性が高いでしょう。

子どもたちのかわいらしさを見つけられない

元々は子どもが大好きで保育士になった人でも、子どもたちのかわいらしさを見つけられず、自分を責めてしまうことがあります。

実は、このような話は身近な保育士の中にも、そう感じている人が多いのではないでしょうか。

身体的にも精神的にも過酷な環境が、保育士の精神的な余裕をどんどん奪っていくのです。やがて、子どもたちに愛情を掛けられず、かわいらしさを見つけてあげることさえできなくなるのです。

子どもたちをかわいがれないのであれば、子どもの命を預かる保育士としての仕事は成り立たないでしょう。

今すぐにでも勤めている保育園を離れることを、真剣に検討することをオススメします。

「死にたい!」と泣けなくなった

一見、矛盾したことを言っていると思う方もいるでしょう。

実際に自殺にまで及んでしまう人の傾向として、「死にたい」が「生きたい」に変わった時が危ないといわれています。

「死にたい!」と泣ける人は、泣くという行動によってストレスを発散することができるため、むしろ自殺にまで及ばない傾向があります。

 

逆に「死にたい」という意思表示ができなくなったケースこそ、もっとも危惧しなければなりません。

「もうこの世から消えたい」と生きる意欲を失い、布団の中で孤独になれば…。

早めに専門の医療機関はもちろん、家族でも友人でもいいので、相談してみてはいかがでしょうか。

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「辛い」「辞めたい」死にたくなる前にできること

残念なことに、今まさに辛い思いをしている保育士さんが多くいることも事実です。

 

保育士にあこがれて保育士になったはずなのに、その仕事のせいで身体がぼろぼろになってしまうのは、同じ保育士として本当に悲しいことだと思います。

 

今日は、そんな保育士さんも、「今は大丈夫のようだけれど・・・」という保育士さんも、みんなに心がけていただきたいことをご紹介いたします。

今辛い思いをしている保育士さんの心が、少しでも軽くなりますように。

これからつらい思いをする保育士さんが、少しでも減りますように。

 

私が主任を勤めている保育園でも、新人さんによく伝えていることです。みなさんの保育園でも、ぜひ伝えてあげてみてくださいね。

他の職場を見てみる

「今の職場に育ててもらったから、そんな簡単にやめられない」と思っていませんか?

真面目な保育士さんほど、こういった理由で我慢をつづけてしまいます。

でも、それは本当に正しいことなんでしょうか?

 

育ててもらった恩は、別の環境で、新人の保育士さんにたっぷり返してあげればいいのです。

保育士になったときに、理想としていた姿があるはずです。

そんな理想の保育士は、今からだってなれるんです。

そのために、自分にぴったりの素敵な職場を選ぶ権利は、どの保育士さんにもあるんですよ。

今は保育士専門の求人サイトなどもたくさんあります。まず求人をみてみるだけでも、ちょっと心が軽くなりますよ。

思い切って愚痴をいう

まずは、愚痴があるなら思い切って言いましょう!

職場の人には気を使うこともあるでしょうから、他の業種に勤めている友達でも家族でもいいのです。

ストレスが溜まった出来事を、自分以外の誰かに話してみましょう。

 

私のおすすめは、保育士でない他業種の友達に愚痴をいう、というものです。

 

同業ですと、せまい保育士業界なので、どこで誰の耳に入るかわからず不安です(もちろん友人たちは口が硬いと信じていますが・・・)。

家族ですと、「そんな大変な仕事やめなさい!」と余計に心配をかけてしまいそうで、できれば避けたいものです。

となると、保育士でない友人がいちばんぴったりなのです。

 

さらに、「保育士業界ではあたりまえ」となっていて気づけなかったことに気づかせてくれることもあります。

人間関係の調整方法や、研修の方法、組織のつくりかたなど、業種がちがうと「あたりまえ」となっているやり方がガラッと違います。また、その中で真似できるものもたくさんあります。

いろいろな視点の意見をもらう、という点でもおすすめなんです。

プライベートの時間を大切に

さらに、プライベートの時間を大切にすることです。

仕事中心の生活をしていると、そのことだけが頭の中をぐるぐると駆け巡っていることでしょう。

しかし、これは健全な精神状態ではありません。

趣味はもちろん、キャリアアップを目指した勉強、体力づくりを兼ねた運動、幸せな人生を送るための恋愛など、なんでもいいのです。

大切なことは、仕事以外で心から集中して楽しめる時間をつくることです。

それができるようになると、「仕事での悩みは、案外小さいことなのかも」と、気持ちを切り替えることができるはずです。

休むことに引け目を感じない

また、自分自身に対して「休養を許可」することは、自分以外にできないもっとも重要なことです。

真面目で責任感の強い保育士ほど、これが苦手だという人が少なくありません。

残業はもちろん、持ち帰り仕事でも「はい、よろこんで!」というのは、保育業界だけに見られる悪しき習慣です。

いうまでもなく、法律違反でもあります。

だからこそ、後ろめたさを感じることなく、休日を満喫しましょう!

 

ちゃんと自分自身に対して「休養を許可」できれば、気持ちをかなりリフレッシュすることができるはずです。

 

まとめ

「もうダメ、死にたい…」、そう思うこともあるでしょう。

死にたいと思うまで追い詰められた自分を、まずは責めないでください。

子どもが好きで保育士の仕事に前向きだったあなたを、そこまで追い詰めるような過酷な環境で働き続けたのですから、がんばったことは認めてあげましょう。

そのうえで、自分の心が今どうなっているのかと向き合いましょう。

 

そうすることで、穏やかな気持ちを保って働ける職場のイメージを作ることができるのではないでしょうか。

あなたにとって一番大事なのは、自分の気持ちと、自分の身体を大切にできる環境です。

今までたくさん頑張ってきたのですから、「死にたい」とまで思いつめさせた職場とは少し距離をとって、ゆっくり休んでみてください。

 

つらい思いを相談できるサービス

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厚生労働省「心の耳」(メール・電話)

厚生労働省では「心の耳」という、働く人のための悩み相談の窓口を設けています。

メールでも相談できますし、電話で直接お話しすることもできます。

公的機関ですから、秘密をばらされるのではないかとか、弱みにつけこんで騙されるのではないかとか、そんな心配はいりません。

自殺総合対策推進センター「いのち支える相談窓口」(電話)

国の政策にそって作られた、自殺総合対策推進センターが運用している窓口です。

各都道府県に設置された窓口の案内があります。

いのち支える相談窓口一覧|JSSC

公的機関で、WHOとも連携を行っている、信頼のおけるサービスです。

まず話を聞いてほしいという方以外も、実際に自治体の動きが必要な場合にも頼りになる相談窓口です。

社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」(電話)

一般社団法人社会的包摂サポートセンターが運営している電話相談サービスです。

仕事以外のことでも、生活に関することも相談することができます。また、通話料が無料のフリーダイヤルなので、ゆっくりと自分の思いを伝えることができます。

専門の相談員の方がとても丁寧に話を聞いてくれます。

24時間利用できるので、ふと夜中に辛い思いがぶりかえしてきた、というときでも大丈夫ですよ。

 

一般社団法人いのちの電話連盟「いのちの電話」(メール・電話)

メールでも電話でも相談できる、一般社団法人日本いのちの電話連盟のサービス。長い歴史があるサービスで、専門の支援員の方が話を聞いてくれます。

ナビダイヤルの通話ですが、毎月10日はフリーダイヤルが使えるサービスもあります。

 

朝起きて「保育園行きたくない」と思ったら、それは転職のサインかも

登園拒否になるのは園児だけではありません。

大人だって、保育士だって、我慢しても我慢仕切れない時があるんです。

「仕事に行きたくない。起きられない。助けて、神様。。」と限界になる前に、転職アドバイザーに相談してください。

↓ ↓ ↓

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